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2006 10,07 00:09 |
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とうとう長年愛用していた財布が壊れてしまった。
ちょうど離婚して半年経った頃、その財布を買ったのだ。 確か私の29歳の誕生日に、あやかが少ない小遣いの中から貯めた3000円を、私に誕生日プレゼントの変わりにお金をくれたのだ。 「お母さん、これで財布を買ってね」 と言ってくれた。幼いあやかを連れて一緒に財布を買いに行ったものだ。 当時、実家で両親と同居していたが上手く行かず、追い出されるようにして私達はアパートに住んだ。 勿論、私に貯金などあるはずもなく、借金を重ねての引越しだった。 それほど私も子供達も精神的に追い詰められていた。 今住んでいるテラスハウスの斜め向かいに住んでいたのである。 振り返る度、当時の生活は悲惨そのものだった。 七月下旬に引越しを終えて、生活用品や当分の食料を買い込むと、私の所持金はわずか2000円になった。 その2000円で次の給料日である2週間後まで、生活せねばならなかったのだ。 覚悟をして出たとは言え、とても苦しかった。 ちょうど子供達の夏休みと言う事もあって、毎日の食事は頭を悩ませたものである。 この頃、我が家の食卓によく上ったのは「もやし」だった。 それでも子供達は文句一つ言わなかった。 私の両親の八つ当たりや愚痴、イヤミを聞きながらの食事を思えば、もやしだけしかおかずが無いご飯でも、美味しいと思えたからだろう。 だから子供達はよく 「ゆっくり味わえて美味しいね」 と言ってくれた。それが何よりの救いだったのだ。 引越しも子供達からのお願いだった。 「お母さん、じいじのうちを出たいよ。でないとばあばに殺されちゃうよ! どんな貧乏でも寂しくても我慢するから。だからお願い!!」 「でも本当にご飯が食べられないかもしれないよ? きっとお母さんは朝から晩まで働いているから、寂しくてもいてあげられないよ。それでもいいの?」 そう聞くと「いいよ。何でもするから!お願い!」 そう言ったのだった。 私はセールスを辞めた時に、お付き合いで買った物、付き合いで入った保険、車、買取り商品の化粧品・・・などのローンが300万ほどあったのだ。 それに加え、引越しのために金融機関でさらに借金をしたのだから、その返済をする為に、私は4つの仕事を掛け持ちしていた。 だからほとんど家に居らず、子供達だけで過ごしていたのだ。 まだ子供達は小さく、かずまは小4、あやかは小3、すぐるは保育園児だったのに寂しさをぐっと我慢してくれていた。 それどころか「お母さん疲れた?」と気遣ってくれた。 そんな中で、引越しして数日経って私の誕生日を迎えたのだ。 あやかがくれた現金をよっぽど生活費に当てようかと思ったが、あやかは財布を買ってくれ、と言ったのだから、その思いを尊重する事にした。 だからこの財布は私にとって特別に思い入れのある物なのだ。 人様から見たらたかだか3000円の財布だが、私にとっては何よりも重い3000円なのだ。 それから半月して義母が亡くなり、私は本当に「泣きっ面に蜂」状態で、 「どうして私はこんなに苦しくて追い詰められるような事ばかり起こるのだろう・・・」 と悲嘆に暮れていた。でもゆっくり泣いている暇は無い。 私が働かねば子供達が飢えるからだ。 そうして夏休みが終わった頃には、私も子供達も2キロずつ、体重が落ちていた。 私の2キロはともかく、たった十数キロしかないすぐるにとって、2キロの減量は悲惨だ。 すぐるはすっかりガリガリにやせ細っていた。 私はそれが可哀相で、自分が情けなくて悔し泣きをした。 「将来絶対お金持ちになろう。美味しいものを食べようね」 子供達とそう、決意したのだ。 そうして私は働きに働き、2年ほどで借金のほとんどを返したのだ。 その2年間は一日も休みを取った事はなかった。 でもいつも心の中で「早く子供達とゆっくり団欒出来る日が来るといいな」と思っていた。 私の夢だったのだ。 その時が来た時は、私も子供達もどんなに喜んだ事かしれない。 本当に嬉しかったのだから。 あの頃の苦しさは、決して忘れられない。 でも確かな自信と自負が身に付いた。 働いてきた自信、借金を返済した自信、自分達だけで乗り越えた自信、 何でも感謝出来る子供達にしたという自信・・・。 挙げたらキリがないが、私達が強く逞しくなったという事は確かだ。 そしてあの頃の私達が想像もしていなかったような生活を、今させていただいている。 今も決してお金持ちではないし、精神的にも経済的にも苦しい時があるが、好きな事を自分の娘と共に「仕事」をしているのだ! こんな幸せがあろうか! そしてどの子供達も私の良き理解者であり、支えになってくれている。 私は地球で一番幸せな母親だと思っている。 当たり前の暮らしを当たり前に暮らせるって、素晴らしい・・・。 本当の幸せとは、案外そんなモノなのである。 さて、今日は財布を買ってきましたよ。 きっとあの財布の役目は終わったのだろう。 「ご苦労様でした」と声を掛けて、処分する。 これからは新しい財布とお付き合いするのだ。 お財布ちゃん!これからもよろしくね~! PR |
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コメント |
良い話を聞けました。そのお財布は、橋村家の家宝?だね。
心のよりどころと言うか、支えでしたね。少しくらいのことでくよくよしないで前向きに生きていれば、必ず良い事は訪れるのですね!良いお話をありがとう! 少し気持ちが楽になりました! |
生きていれば色んな事がありますよね~?桑原家も私以上に大変ですものね。
お互い頑張りましょうね。 で、感傷も早々に、前のお財布は感謝を捧げて、ゴミ箱にポイッ! 何時まで取っておいても仕方ないしね。 ここら辺が薄情なんだろうか・・・。 そんな訳でさっさと捨ててしまいました!あはは~! 【2006/10/0722:58】||はしむら#99af3740a7[ 編集する? ]
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だけど、それをここに「薄情なんだろうか?」って書くって事は、まだまだ人間的に修行の段階ですね。
【2006/10/0816:48】||フグタ#5774695bb0[ 編集する? ]
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私達はみな不完全だからこそ、この世に修行に来ているのですもの。そうでしょ?花江さん!
【2006/10/0819:25】||はしむら#99af3740a7[ 編集する? ]
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